
現地の専門家アドリアナ&マテイが執筆
アドリアナとマテイ・ハロウスコヴィは、人気ブログ Czech the World を運営するトラベルブロガーです。
マテイはプラハ生まれでずっとこの街に住んでおり、アドリアナは10年以上前にここに引っ越してきました。
60か国以上を旅してきましたが、いちばんよく知っている場所を挙げるなら、この街です。
チェコがビールで名を知られているのには、ちゃんと理由があります。私たちは自国のビールを心から誇りに思っていて、世界一だと言ってはばかりません。
- チェコのビールはとにかく安いのです。どのレストランでもビールより安いノンアルコール飲料を最低ひとつ置かねばならない、という法律までできたほどです。
- チェコ人の一人あたりの年間ビール消費量は世界一。何かにつけて水のように飲みます。
この記事では、プラハに暮らす人間の視点から、チェコのビールについて知っておきたいことをひととおりお伝えします。
チェコビールの種類と分類
チェコで造られるビールの圧倒的多数はピルスナー・ラガーです。
チェコビールの分類
- レフケー(Lehké=「軽い」) ――まろやかでアルコール度数の低いビール。
- ヴィーチェプニー(Výčepní=「生」) ――もっとも一般的な種類で、度数はやや低め。
- レジャーク(Ležák=「ラガー」) ――たいてい度数が高く、苦みも強め。
- スペツィアール(Speciál=「スペシャル」)――幅が広く、たいていは度数が高めで独特の風味をつけたものも多い。
チェコビールの「度」表記
チェコではビールの強さを「度」で表します。これは麦汁に含まれる糖分の重量パーセントのこと。おおむね、度数が高いほどアルコール度数も高く、苦みも強くなります。圧倒的によく飲まれているのは10度と12度ですが、7度から18度までどの数字もありえます。
- 10°(デシートカ)――アルコール度数はだいたい4%前後
- 11°(イェデナーツトカ) ――だいたい4.5%前後
- 12°(ドヴァナーツトカ)――だいたい5%前後
- 13°(トシナーツトカ)――だいたい5.5%前後
- 16°(シェストナーツトカ)――だいたい6.5%前後
チェコビールの色
- 淡色(Světlé=スヴィエトレー) ――チェコで断然いちばんよく飲まれるビール
- 濃色・黒(Tmavé=トマヴェー)――甘みがあり、苦みは控えめ
- 中間色(Polotmavé、または混ぜた řezané) ――淡色と濃色のあいだ。

チェコのビール銘柄――どれを飲むべき?
まず大前提として、ビールの味は店の質に大きく左右されます。設備が行き届いた良い店なら、評判のいまひとつな銘柄でもそれなりにおいしく飲めます。逆に店がひどければ、最高の銘柄でも台無しです。店によってはビールを水で薄めているところさえあります。
チェコのビール銘柄の品質を調べた大規模なアンケートがあります。チェコ語ですが、銘柄名と平均評価は読み取れます。パーセントが高いほど、チェコの飲み手からの評価が高いビールです。
ここからは、チェコでよく知られた代表的な銘柄をひとつずつ、そのアンケートの平均評価とあわせて見ていきます。
Pilsner Urquell(ピルスナー・ウルケル)――64%(アンケート評価)
- 味わい:ホップの効いた個性的な風味で、しっかり強め
世界でもっとも名の知れたチェコビールでしょう。ピルスナー(チェコ語では「プルゼニュ」)はどのパブでもたいてい置いてあります。度数は高めで値段も少し張りますが、それでも十分に安い部類です。
いわば「ビールの中のビール」。1杯か2杯だけ飲むならピルスナーは間違いのない選択です。ただし一晩じゅうパブで何杯も飲むつもりなら、もう少し軽い銘柄を選んだほうが無難。そうしないとあっという間に酔いが回ります。
ビールのひとつのカテゴリーそのものに名を与えた銘柄です。世界初の淡色ラガーで、名前はチェコ第4の都市プルゼニュ(Plzeň)に由来します。

Budweiser Budvar(ブドヴァイゼル・ブドヴァル)――66%
- 味わい:やわらかくうまみがあり、炭酸は他より控えめ
ブドヴァイゼル・ブドヴァルは、チェコの町チェスケー・ブジェヨヴィツェ(ドイツ語でブトヴァイス)にある醸造所です。アメリカのバドワイザーとは無関係で、あちらがチェコの醸造所から名前を横取りしたかたちです。
旅行者にとても人気があります。チェコ人の多くも好きですが、そうでない人もいます。とはいえ一度は試す価値あり。品質の高い銘柄のひとつです(そしてアメリカのバドワイザーよりずっとおいしい)。

Krušovice(クルショヴィツェ)――46%
味わい:甘めで、やや平板
名高いクルショヴィツェ醸造所を興したのはルドルフ2世です。かなり個性的なビールで、チェコ人でも好きな人と、苦手あるいは大嫌いという人にはっきり分かれます。ほかとは違う味なので、一度は試してみる価値があります。

Staropramen(スタロプラメン)――36%
味わい:軽く、果実を思わせる風味
チェコでもっとも広く出回っている銘柄のひとつで、プラハのスタロプラメン醸造所で造られています。安めの店でも大量に出されるため、品質にばらつきが出ることがあります。
そこそこの味で安く飲める点が人気の理由です。ただ特別な一杯としてはおすすめしません。ごく普通のチェコビールです(それでも世界の大半のビールよりはおいしいのですが)。

Gambrinus(ガンブリヌス)――44%
味わい:甘みがあり、後味にホップの苦み
チェコでいちばん売れているビールです。スタロプラメンとよく似た立ち位置で、やはり安めの店に大量に出回るため品質にばらつきがあります。
スタロプラメンと同じく、安くてそこそこ飲めるので人気があります。どんな場面でも飲みやすく、何杯でもいけてしまうタイプ。とはいえこちらも、ごく普通のチェコビールで特別なものではありません。

Kozel(コゼル/ヴェルコポポヴィツキー)――49%
味わい:コクがあってなめらか。世界屈指と評されることも
コゼル(チェコ語で「雄ヤギ」の意味)はヴェルケー・ポポヴィツェの醸造所のもので、プラハのチェコ人学生や留学生に絶大な人気があります(私もそのひとり)。瓶ビールとしては最良の部類で、安いパブでもたいてい品質が保たれています。
黒ビールのバージョンは、おそらくチェコでいちばん人気のある黒ビールです。

Svijany(スヴィヤニ)――42%
味わい:ほのかな甘みとほのかな苦み
スヴィヤニはチェコでもっとも古い醸造所のひとつで、創業は1534年。熱処理をしていないラガーで、そのぶん素材そのものの味わいが生きています。
定番の一本はそこまで変わった味ではありませんが、個性的な限定バージョンが数多くあり、こちらはぜひ試す価値があります。私個人の好きなビールのひとつです。

Lobkowicz(ロプコヴィツ)――62%
味わい:苦みのなかに柑橘のニュアンス
ガンブリヌスやスタロプラメンほど広く出回ってはいませんが、品質はおおむね良好。手堅い一本です。飛び抜けてすごいわけではないものの、がっかりさせられることもありません。

Bernard(ベルナルト)――70%
味わい:ほろ苦い甘さとホップの香り
ベルナルトは16世紀までさかのぼる家族経営の醸造所です。1991年までは非常に小さな存在でしたが、そこから人気が急上昇しました。熱処理をしていないビールで、個性のある力強い一杯を求めるならこの銘柄。私自身も大好きで、見かけると必ず頼みます。
風味づけしたビールも数多く手がけていて、ノンアルコールビールもとても人気があります。

Velvet(ベルベット)――55%
味わい:ほのかな苦みとビロードのような口当たり
ベルベットはスタロプラメン醸造所が手がける特別なビールです。中間色でしっかりした味わい、アルコール度数もチェコの平均よりやや高め。イギリスのレシピに着想を得ています。
どこにでもあるビールではありませんが、見かけたら試す価値あり。ほかとは違う味わいで、品質もたいてい良好です。

Braník(ブラニーク)――39%
味わい:苦みとホップが強く、柑橘のニュアンスも
スーパーで買える瓶ビールのなかでたいてい最安値。学生に人気がある理由もそこにあります。ただ、けっしておいしいビールとは言えないので、ほかの銘柄をおすすめします。
ブラニークはヴルタヴァ川の水を実際に使って造られていて、それが独特の風味のもとになっています。

Matuška(マトゥシュカ)――71%(ズラター・ラケタ)
味わい:典型的なチェコのラガーより軽く、甘め
マトゥシュカはチェコでもっとも新しい醸造所のひとつですが、すでに熱心なファンをつかんでいます。エキスや糖類を加えず、できるだけ素直に仕上げたクラフトビールです。
エールから飲みごたえのあるラガーまで数種類を造っています。特別な一杯を求めるなら「ズラター・ラケタ(Zlatá raketa=金のロケット)」を。典型的なチェコのラガーより軽くて甘い味を探している人にぴったりです。

プラハでビールを飲むならこの店――おすすめのレストランとパブ
プラハでビールをはしごするなら、どこへ行けばいいのでしょう。おすすめのレストランとパブを見ていきましょう。
U Vejvodů(ウ・ヴェイヴォドゥー)
ウ・ヴェイヴォドゥーには、プラハのほかの店がまねしようとしてもかなわない歴史の厚みがあります。店は雰囲気の異なる2フロアに分かれていて、下の階はビアホール。チェコの醸造業が栄えた時代の写真や品々が飾られ、古きよきボヘミアの民俗音楽が流れています。上の階はもっとパブらしく、今どきの音楽と若い客でにぎわいます。

Lokál Dlouhááá(ロカール・ドロウハー)
レトロな内装で人気のレストラン。タンクから注がれる質のいいピルスナー・ウルケルが飲めます。おいしいビールだけでなく、昼食や夕食にチェコの定番料理も味わいたい人にぴったりです。

U Glaubiců(ウ・グラウビツー)
創業700年を超える、名の知れた歴史あるレストランです。おいしいビールと定番のチェコ料理を味わいながらプラハの歴史にも触れたいなら、ここが理想的。プラハ城とカレル橋を結ぶ散策路の途中という立地も申し分ありません。
- ビール:Pilsner Urquell、黒のKozel
- 公式サイト
- 場所:マロストランスケー広場 266/5

Na Palmě(ナ・パルミェ)
地元の人に愛されているビアバー。いろいろな限定チェコビールを飲み比べたい、地元の人にまじって一杯やりたい――そんなときはここです。
- 観光客にはほとんど知られていないので、まわりはたいていチェコ人の飲み手ばかりです。
- つねに10種類のビールが用意されていて、毎週入れ替わります。
- 中心部からは少し外れますが、ヴァーツラフ広場から地下鉄で乗り換えなし8分です。
- 小さな店なので、席を予約しておくのが賢明です(電話 605 283 520)。
- ビール:Únětice ほか、毎週替わる銘柄
- 公式サイト(チェコ語のみ)
- 場所:Zenklova 13

醸造所見学とビールスパ
Pilsner Urquell 醸造所
ビール好きなら、プルゼニュにある本家のピルスナー・ウルケル醸造所はぜひ訪ねたいところ(プラハから車で1時間ほど)。
自分で車で行き、醸造所の見学ツアーをここから直接予約することもできます。
- 所要時間:100分
- 開館時間は月によって変わります――こちらで確認してください。
あるいはプラハ発の日帰りツアーという手も。醸造所に加えて、チェコが誇るボヘミアガラスの工場も回ります。
- 催行日:毎週月曜と水曜
- 所要時間:8時間
- 出発時刻:午前9時

Staropramen 醸造所
スタロプラメン醸造所はプラハ市内、中心部のすぐ近くにあるので、手軽な選択肢としておすすめです。試飲ツアーはスタロプラメン醸造所の公式サイトから直接予約できます。
- 所要時間:50分
- 開館時間:毎日10時〜18時

プラハのビールとチェコ風タパスをめぐる夜の街歩きツアー
プラハでも指折りの飲み屋をめぐりながら、伝統的なチェコのおつまみを味わいたいなら、この夜のツアーは外せません。
- 所要時間:4〜5時間
- 出発:毎日17時、ヴァーツラフ広場
- 評価も抜群――270件以上のレビューで5点満点
- 予約はこちら:Prague Beer and Czech Tapas Evening Walking Tour
ビールスパ Prague Bernard
ビールスパもプラハのビール好きに人気の場所です。いちばんのおすすめはBeer Spa Prague Bernard。
- 立地も抜群――旧市街広場とヴァーツラフ広場のすぐそば。
- 所要時間:90〜120分
- ビールは飲み放題
- 予約はこちら:Beer Spa Prague Bernard
どんなものかをつかむには、プラハのビールスパ体験記を読んでみるのがおすすめです。

プラハのビール地図
この記事で紹介したレストラン、パブ、ビールスパ、ツアーをすべて載せた地図を用意しました。ダウンロードして Maps.me や Locus Map といったスマホの地図アプリに読み込むこともできます。

チェコでビールを注文するには
正直なところ、パブに入れば誰もがビールを頼みに来たとわかります。とはいえ、覚えておくと便利なことがいくつかあります。
- 何も言わなければ「大」(0.5リットル)が出てくるのが当たり前です。小さいほう(0.3リットル)がよければ「malé(マレー)」と伝えてください。
- 同じように、断らなければ淡色ビール(světlé)が出てきます。黒がよければ「tmavé(トマヴェー)」と言いましょう。
- 接客が気に入ったらチップを渡すのが一般的です(相場は5〜10%)。
チェコのビール会話帳
| ビールをください | pivo prosím(ピヴォ・プロシーム) |
| 乾杯 | na zdraví(ナ・ズドラヴィー) |
| 大ジョッキ(0.5リットル) | velké pivo(ヴェルケー・ピヴォ) |
| 小グラス(0.3リットル) | malé pivo(マレー・ピヴォ) |
| 黒ビール | tmavé(トマヴェー) |
| もう1杯ください | ještě jedno(イェシュチェ・イェドノ) |
| お会計をお願いします | zaplatím prosím(ザプラティーム・プロシーム) |

チェコビールにまつわる面白い話
1) チェコ人は一人あたりのビール消費量が世界一
どの調査を見てもチェコが首位です。この調査によると、一人あたり年間142.4リットル。老若男女を問わず全員が毎日355ミリリットル缶を1本以上空けている計算になります。
2) ビールより安いノンアルコール飲料を必ず置かねばならない
チェコではビールがあまりに安いため、すべての飲食店にビールより安いノンアルコール飲料を最低ひとつ置くことを義務づける法律まで作られました。かつては水道水のほうがビールより高い店がいくらでもあったのです。信じがたいですが本当の話です。
3) チェコ最初の醸造所は993年に誕生した
プラハのブジェヴノフ地区にある修道院が、ボヘミア王国の時代、10世紀にビール造りを始めました。
4) ピルスナーはチェコの町プルゼニュ生まれ
いまや世界中で飲まれているこのスタイルは、19世紀にプルゼニュ(英語表記 Pilsen)のピルスナー・ウルケル醸造所で生まれました。
5) 本家バドワイザーはチェコのもの
本家の醸造所はチェコの町チェスケー・ブジェヨヴィツェ(ドイツ語でブトヴァイス)にあります。「ブドヴァイゼル」とは「チェスケー・ブジェヨヴィツェのビール」という意味です。その後、ドイツ移民のアドルフス・ブッシュがアメリカで醸造所を開き、看板商品にバドワイザーと名づけました。以来、この名前を使う権利をめぐって数々の法廷闘争が繰り広げられてきました。
あわせて読みたい:プラハの飲酒に関する法律――地元在住者が教える完全ガイド
ビール大国チェコを描いたこちらの愉快な動画もどうぞ
チェコビールを装った偽物――Žatecký Gus
「ジャテツキー・グス(Žatecký Gus)」というビールを見かけたことがあるかもしれません。チェコビールのようなふりをした商品です(ジャテツはたしかにチェコの町の名前)。ラベルはチェコ語(しかも誤りつき)で、広告もチェコ風。ですが実際はロシアのビールで、味もたいしたことはありません。

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チェコビールのよくある質問(FAQ)
チェコビールでおすすめの銘柄は?
代表的なチェコビールの銘柄は Pilsner Urquell、Budweiser Budvar、Krušovice、Kozel、Svijany、Gambrinus、Staropramen、Lobkowicz、Bernard、Matuška です。詳しくは チェコビール銘柄の比較をご覧ください。
プラハのビール地図はありますか?
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1) U Vejvodů(ウ・ヴェイヴォドゥー)
2) Lokál Dlouhááá(ロカール・ドロウハー)
3) U Glaubiců(ウ・グラウビツー)
4) Na Palmě(ナ・パルミェ)
詳しくは プラハのおすすめビアレストランをご覧ください。
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