
現地の専門家アドリアナ&マテイが執筆
アドリアナとマテイ・ハロウスコヴィは、人気ブログ Czech the World を運営するトラベルブロガーです。
マテイはプラハ生まれでずっとこの街に住んでおり、アドリアナは10年以上前にここに引っ越してきました。
60か国以上を旅してきましたが、いちばんよく知っている場所を挙げるなら、この街です。
チェコ国内をもう少し歩く時間がありますか。それなら、プラハからの日帰りにうってつけの行き先をご紹介します。石灰岩の採石場、ヴェルカー・アメリカとマラー・アメリカです。ヴェルカー・アメリカはしばしばチェコのグランドキャニオンと呼ばれます。「アメリカ」という名も、おそらくそこから来ています 🙂
自然が好きな人にも歴史が好きな人にも向いた小旅行です。途中でカルルシュテイン城にも立ち寄れます。
この日帰りツアーとその周辺のスポットは、当社の無料アプリの地図に掲載されています。 こちらでガイドをお読みいただき、その後、アプリを開きながら探索してください。
採石場について
にぎやかなプラハの中心からほんの少し離れたところに、多くの旅行者が見落とす自然の驚異があります。いちばん大きいのがヴェルカー・アメリカで、メヒコとマラー・アメリカもよく知られています。この一帯は長年トランプ(山歩き好き)に愛されてきた場所で、家族連れの行き先としても人気。チェコでもっとも美しい場所のひとつに数えられます。とくにカルルシュテイン城へ続く黄色の道標の道が人気です。
1)Velká Amerika(ヴェルカー・アメリカ=大アメリカ)採石場
車かバスでモジナに着くと、最初に行き当たるのがこの採石場です。長さおよそ800メートル、幅200メートルという巨大な石灰岩の採石場で、深さは100メートルにもなります。底には、澄みきった水をたたえた湖があります。
縁の展望地点へは、おもに黄色の道標の道からたどり着けます。反対側からぐるりと回ることもできます。いちばん美しく見えるのは南西の端からです。

2)Malá Amerika(マラー・アメリカ=小アメリカ)採石場
こちらも澄んだ水をたたえた石灰岩の採石場です。底の湖はレシェンスケーと呼ばれ、水がきれいなため保護対象のザリガニまで棲んでいます。ヴェルカー・アメリカと同じく、遊泳も立ち入りも禁止です。壁面には四角い大きな穴がいくつも見えます。これはかつての採掘坑道の口で、第3採掘班の主要集合坑道がここへ通じていました。現在、坑道はコウモリの重要な越冬地になっています。

3)Mexiko(メヒコ)採石場——かつて政治犯が働かされた場所
旅行者にはメヒコという名で知られていますが、この採石場は共産主義体制の残酷さを刻んだ場所でもあります。1949年から1953年のあいだに、およそ2000人の囚人がここを通りました。そのほとんどが数週間で衰弱しきり、パンクラーツの病院へ送られています。この「チェコのマウトハウゼン」を生き延びた人たちは、のちに資金を出し合い、この懲罰の採石場に記念碑を建てました。

プラハからヴェルカー・アメリカへの行き方
ヴェルカー・アメリカ採石場は、プラハ中心部から南西へわずか21 kmのところにあります。車でも公共交通でも問題なく行けます。
車で
採石場はモジナ村の近くです。カーナビには「Velká Amerika」とそのまま入力すれば大丈夫。プラハ中心部からいちばん速いのは高速道路D5で、出口10のロデニツェで降ります。そこからコゾルピを抜けて採石場へ。別の方向から来る場合は、モジナ村からコゾルピ/ブボヴィツェ方面へ坂を上ってください。モジナから来ると、採石場は左手に見えます。
駐車場
ヴェルカー・アメリカのすぐそばに問題なく停められます。大きめの駐車場が2か所あり、料金は無料。ほかの採石場へ続く黄色の道標の道も、ここから始まります。
バスで
プラハのズリチーンからバスが出ていて、モジナ村に停まります。モジナの停留所からは黄色の道標をたどって1 kmの徒歩。採石場のすぐそばに停まる311番のバスもズリチーン発ですが、この路線がここに停まるのは1日1〜3回だけです(停留所名 Mořina, quarry branch)。接続を調べるにはIDOSが便利です。
列車で
最寄り駅はカルルシュテインです。プラハ〜カルルシュテイン〜ベロウンの列車は30分間隔で走っています。時刻表はアプリMůj vlakで見られます。
旅のヒント
カルルシュテインとアメリカ採石場のあいだには、気持ちのいい遊歩道があります。歩くつもりなら、バスでモジナまで行き、ヴェルカー・アメリカから歩きはじめるのがおすすめ。バスは列車ほど本数が多くないからです。逆にカルルシュテインから歩きはじめると、モジナで2時間近くバスを待つことになりかねません。

ヴェルカー・アメリカからカルルシュテイン城まで歩く
人気の行程は、モジナ村を出発してヴェルカー・アメリカ、メヒコ、カナダ、マラー・アメリカの各採石場をたどり、カルルシュテイン城まで歩くコースです。全長6.5 kmで、道標がしっかり整っています。写真を撮りながらで所要はおよそ2時間30分。出発点はモジナ村。そこから黄色の道標が採石場を巡って「七兄弟の樫」まで導き、さらに赤の道標がカルルシュテインへと続きます。
逆に列車でカルルシュテイン駅まで来て、周回コースにすることもできます。屋外用の地図としてはmapy.czが最良なので、入れておくことを強くおすすめします。
ハイキングコースの地図

採石場の坑道を見学する
ヴェルカー・アメリカのまわりには、見事な写真が撮れる展望地点があります。採石場の中へ下りることは禁じられていて、実際に下りるのも困難です。採石場はLomy Mořina spol. s.r.o.という会社の所有で、禁止を破ると15,000 CZK(650 USD)の罰金を科されることがあります。したがって入場料も開場時間もありません。立ち入り禁止は、なにより安全のためです。
それでも地下の坑道を見てみたいなら、方法は二つあります。
a)ハーゲン協会(OS Hagen)による事前予約制の坑道ツアー
10名以上のグループ、または個別の取り決めがあれば、地下坑道への見学が可能です。くわしくは協会のFacebookページを見るか、hagen.morina@gmail.com へ直接問い合わせてください。
b)年に一度の「ヨーロッパ保護地域の日」の催し
この催しは年に一度だけ開かれ、自然観察路や見学、「七兄弟の樫」からマラー・アメリカ採石場へ抜ける坑道の通り抜けが用意されます。開催の予定はチェコカルスト保護景観地域(CHKO Český kras)のサイトで確認できます。
採石場での遊泳について。泳ぐことも禁止されています。破れば15,000 CZK(650 USD)の罰金の対象です。残念ながら、ハーゲン協会を通しても遊泳の手配はできません。

ヴェルカー・アメリカ周辺の地図
歩きやすいように、カルルシュテイン一帯と採石場周辺の見どころをすべて入れた詳しい地図を用意しました。スマートフォンに落として使えます。書き出して Maps.me や Locus Map といったアプリに読み込むこともできます。
その次はどこへ?
週末まるごと使えるなら、あるいは近くのほかの場所まで足を延ばしたいなら。次の行き先のヒントをいくつか挙げておきます。
1)カルルシュテイン城
ヴェルカー・アメリカからカルルシュテイン城までは、気持ちのいい山道でわずか6.5 km。城については実用的な情報とこぼれ話をまとめた別の記事があります:カルルシュテイン城——旅の実用的なヒント。

2)ソルヴェイ採石場(Solvayovy lomy)
ソルヴェイ採石場の野外博物館には、当時のままの信号装置が残っています。言い伝えでは、これを鳴らすとハンス・ハーゲンの亡霊を呼び出せるのだとか。見学には鉱山鉄道の乗車も含まれます。展示は大きく4つです。
- ボヘミアカルストにおける石灰岩の採掘と運搬
- 地質学と洞窟学
- 貨物用の索道
- 当時の機械工場
野外博物館は5月から10月まで開いています。入場料と開館時間はソルヴェイ採石場博物館の公式サイトで確認できます。
3)スヴァティー・ヤン・ポド・スカロウ
絵のように美しい村で、村の上に150メートルもの高さでそびえる「聖ヤンの岩」が印象的です。ここからソルヴェイ採石場へ続く自然観察路(全長4.5 km)も気持ちのいい道。岩の下には洗礼者聖ヨハネの教会があり、聖イヴァンの洞窟とつながっています。近くにはベネディクト会の修道院も。
バロック様式の洗礼者聖ヨハネ教会は、4月から10月までの週末(10〜13時と14〜17時)に開いています。夏休みの期間は月曜をのぞく毎日。

4)コニェプルスィ鍾乳洞
洞窟好きなら外せません。とくに車で来た人や、この一帯に長めに滞在する人には。ベロウンから約5 kmのところにあり、ボヘミアで最長の鍾乳洞です。デボン紀の石灰岩のなかを3層にわたって広がっています。発見は1950年、地元の採石場での発破作業中のこと。かつてここには贋金づくりの工房があり、1万3000年前の人骨も見つかっています。
基本の入場料は210 CZK。4月から10月まで毎日開いています。

アメリカ採石場周辺の宿
採石場からいちばん近い宿は、カルルシュテインにあります。
カルルシュテインの宿
カルルシュテイン城の周辺にはいくつか宿があります。いちばん人気で評価も高いのがHotel Karlštejn。プールとサウナがあり、城の眺めも見事です。ベロウンカ川のほとりに立つRomantický Hotel Mlýn Karlštejnも人気。Apartmány Karlštejnは手ごろな値段で泊まれます。
アメリカ採石場周辺のキャンプ場
採石場とその周辺は、長年トランプたちに好まれてきました。チェコの法律では自然のなかで「眠る」ことは認められていますが、テントを張るキャンプは認められていません。ですから野外やハンモックで一晩過ごすぶんには問題ないはずです。チェコの野営についてはこちらでくわしく読めます。テントを張れる場所を探しているなら、カルルシュテイン近くのキャンプ場をおすすめします。
いちばん近いキャンプ場はAutokemp Karlštejn。カルルシュテインのそば、ベロウンカ川の岸辺という気持ちのいい場所にあります。

持ちものは?
水と軽食は十分に用意してください。食事はモジナの「Hostinec na růžku」か、カルルシュテインで。城の周辺にはさまざまなレストランがあります。
おわりに
ヴェルカー・アメリカへの日帰りで分かったのは、心を動かす体験のためにプラハから遠く離れる必要はない、ということでした。採石場のまわりを歩き、忘れがたい写真を何枚か撮り、街の喧噪から離れて静けさを味わう——ここにはそのすべてがありました。プラハへ戻る道すがら、また来ることになるとはっきり感じました。
地元民が教えるプラハの実用ヒント
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